黄体機能不全とは?

黄体機能

黄体機能って?

黄体機能不全のお話しをする前に、まず「黄体機能」そのものについてお話ししたいと思います。

「黄体」という組織は卵巣の中で卵胞が十分に発育すると脳下垂体から卵巣に向けて黄体化ホルモンを分泌し16~24時間後に排卵した後、卵巣の中に出来ます。黄体は、女性らしいカラダ作りや子宮内膜を厚くし受精卵が子宮内膜に着床しやすくするなどの妊娠の準備を促したり、助ける働きをする黄体ホルモン(プロゲステロン)を子宮に向けて分泌し妊娠しやすい身体を作ります。

そして、この黄体の機能の働きがが上手くいっていない状態の事を「黄体機能不全」と呼びます。

黄体機能不全ってどんな病気?

黄体機能不全って聞いた事はありませんか?

この疾患は、不妊症や流産の原因になりやすいといわれていて、知名度はまだまだ低く、病名すら知らないという方も多い婦人病です。病院の検査前に自覚症状のある疾患なので、特に「妊活中の方」、「これから妊活を始めようと考えている方」には是非知ってもらいたいと思います。

「黄体機能不全」とは、先ほどの黄体機能にお話しでも触れていますが、その名の通り黄体ホルモンを放出する「黄体」がうまく機能していない疾患の事を言います。

女性の身体は排卵期に基礎体温が高くなりますが、この基礎体温を上げる役割をするのが「黄体ホルモン」です。また、子宮内膜を厚くしてくれる役割もあり、黄体ホルモンは女性が赤ちゃんを妊娠しやすい状態にしてくれるのです。ですが、この黄体ホルモンが規則正しく機能できないと子宮内膜の形成が不十分になるため卵子が着床しにくくなったり、妊娠できても流産しやすく、妊娠を継続できないという問題が起こってきます。

黄体機能不全の症状

黄体機能不全の症状には主に3つの症状があります。

  • 月経周期が極端に短い」・・・黄体ホルモンの分泌される量が減ってしまうことで高温期が短くなり、月経周期も短くなります。
  • 生理前における症状がない」・・・生理前における様々な症状は、高温期によく起こる症状です。しかし、黄体ホルモンの減少によりあまりそれらを感じなくなってしまうのです。ですが、生理が極端に軽い方も同じ症状となりますので「以前と比べて生理前の症状を感じなくなったなぁ」という場合には、黄体機能不全を疑い医師に相談するといいでしょう。
  • 毎日基礎体温を測っている人であれば、「高温期が10日を切る、高温期と低温期の間に0.3度以上の差がない」という事が当てはまる場合、一度病院で診てもらった方が良いです。

黄体機能不全の原因

黄体機能不全の原因も大きく3つがあります。

  • 脳にある脳下垂体という中枢から分泌される「卵胞刺激ホルモン(FSH)」と「黄体形成ホルモン(LH)」の分泌量低下・・・これらホルモンの分泌量が減ると、卵胞や黄体の発育が悪くなってしまいます。
  • 黄体ホルモンに対する子宮内膜の反応の悪さ」・・・黄体ホルモンが分泌されると、受精卵が着床しやすいよう子宮内膜はフカフカに厚くなっていきます。しかし、黄体ホルモンが規則正しく分泌されていても、子宮内膜が正常に反応せず子宮内膜が厚くならないこともあります。
  • 「卵胞発育不全」、「高プロラクチン血症」、「多嚢胞性卵巣症候群」などの疾患により卵巣で黄体が育たない
「卵胞発育不全とは」
卵胞発育不全は、生活習慣の乱れや過度なダイエット、ストレスなどが原因となり卵巣の機能が低下して、脳からの命令を受けても反応が鈍くなってしまい、卵胞の発育が促されず十分に発育することができなかったり、排卵しにくくなってしまう疾患です。
「多嚢胞性卵巣症候群とは」
卵巣の中で卵胞が多くつくられていても成熟した卵胞が出来にくく、さらに卵巣の表面が硬くなって排卵が上手く行えなくなってしまっているのに脳が排卵させようとして脳下垂体から排卵を促す黄体形成ホルモンを常時大量に分泌してしまう疾患です。
これは、月経2~5日目に卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンのどちらが多く分泌されているか?というところで判断することができ、本来であれば卵胞刺激ホルモンの方が黄体形成ホルモンよりも多くなるところ、逆に黄体形成ホルモンの方が多く分泌されていた場合に多嚢胞性卵巣症候群と診断されます。この病気は肥満傾向の方や、男性ホルモンの分泌に問題のある方に多く見られます。
「高プロラクチン血症とは」
プロラクチンは、産後の身体をつくるホルモンで、乳腺の発達や子宮収縮を促す働きをします。
高プロラクチン血症の原因は、脳下垂体にプロラクチンを過剰分泌する腫瘍ができたり、甲状腺の機能が低くなることで甲状腺ホルモンの分泌を増やそうとするのと同時にプロラクチンの分泌が促されてしまう事にあります。これによりプロラクチン濃度が高くなってしまうというのが高プロラクチン血症です。
高プロラクチン血症はこれ以外にも、「ピル」、「抗うつ剤」、「降圧剤」、「胃潰瘍治療薬」などの薬剤による影響や生活習慣の乱れ、ストレスなども原因としてあげられるとされています。授乳期でもないのにプロラクチン濃度が高いと、生理不順や排卵障害を招きます。

黄体機能不全は生活習慣の乱れによって生じる場合も多い

最近の女性は体格が細く、冷え性の方が多く見られます。過度なダイエットなどで、熱をつくり出す筋肉量が減ってしまうと、体温が低くなり代謝が悪くなるだけでなく全身の機能が落ちてしまい、それにより卵巣の機能も低下して黄体機能不全を引き起こしてしまうのです。その他にも、喫煙や偏った食生活・不規則な生活・ストレスなども冷えの要因となり、黄体機能不全を招く可能性があります。

生活習慣の見直しや十分な睡眠とストレスを溜め込まないこと、適度な運動を行うことで筋肉量を増やし冷えを改善することにより卵巣機能が低くなるのを防ぎ黄体機能不全の予防が可能です。

黄体機能不全の治療法

黄体機能不全の治療は、主にまず生理が始まってから一定の期間「排卵誘発剤」を飲み続け、排卵期・排卵後に「絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)」と「黄体ホルモン」を注射、もしくは内服薬として服用し黄体機能の維持を図ります。

排卵誘発剤には「多胎率が高まる」等の副作用もありますので、しっかり医師に確認しておくのが良いでしょう。また、卵胞発育不全が原因の場合には、排卵前に「クロミフェン」という飲み薬を服用し、卵胞がしっかりと成熟した状態になるように誘導します。

黄体機能不全の検査

黄体機能不全かどうかを検査するには、一般的に問診と採血が用いられます。

問診では、基礎体温表を見ながら生理中の症状や出血量・生理の長さ・生理周期などが聞かれます。また、採血では、排卵日から1週間後に採血が行われ、黄体ホルモンの値が正常かどうかを確認します。

また、膣内エコー検査で卵巣脳腫や子宮筋腫、子宮内膜症などの病気がないかを確認したり、子宮内膜の一部を採取する「子宮内膜日付診」を実施する事もあります。

「子宮内膜日付診とは」
子宮内膜日付診とは、小さなスプーンのような細い金属の棒を子宮内に挿入し、子宮内膜の一部を採取する検査で、排卵後6~7日目の子宮内膜を採取し黄体ホルモンの状態を検査するという診察方法です。

黄体機能不全の女性が増えている

最近では、20代等の若い女性にも黄体機能不全にかかってしまう人が増え、それと同時に不妊に陥ってしまう女性も激増しています。

この黄体機能不全は、年齢に関係なく、若いから大丈夫!といった事は決してありません。将来子供を望むのならば、今のうちからきちんと予防をする必要があります。

また、もし病院で黄体機能不全であると診断されても、黄体機能不全は不妊の原因の中でも比較的治りやすいものだといわれています。医師と相談しながら治療方法を試していけば妊娠することもできますので、あまり悲観せずに治療に取り組みましょう。

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