子宮筋腫ってどんな病気?

子宮筋腫

女性の4人に1人がかかっている!「子宮筋腫」

子宮筋腫は月経のある女性の約4人に1人にできるといわれていて、30歳以上の女性では全体の20~30%が発症するといわれます。ほとんどは良性で、命に係わる様なものではありませんが、子宮筋腫が不妊の原因になることもあり、妊娠したい女性は治療が必要になる場合もあります。

子宮筋腫は、出来る場所や大きさ、数などによって症状や治療法が異なります。ここでは、そんな「子宮筋腫」の原因や治療法などについて詳しく紹介します。

子宮筋腫ってどんな病気?

子宮筋腫は、子宮の筋肉層にできた良性の腫瘍の事をいいます。

女性の病気の中でも特に多い病気で、極小さな米粒ぐらいのものまで含めると、ほぼ全員の女性にみられるといわれています。そのため、子宮筋腫に気付かないまま過ごしている女性も沢山います。

子宮筋腫の原因と症状

子宮筋腫は筋肉が異常増殖したものですが、なぜこの様な事が起こってしまうのか?という事に関しては明確な原因は未だ分かっていません。しかし、卵巣から分泌される女性ホルモンの1つである「エストロゲン」が影響し、筋腫が発育すると考えられています。

子宮筋腫は、筋腫がどの方向に育っていくかで4種類に分けられます。その種類によって、症状の現れ方にも違いがあります。

子宮筋腫の種類は以下の通りです。

  • 「筋層内筋腫」
  • 「粘膜下筋腫」
  • 「頸部筋腫」
  • 「漿膜下(しょうまくか)筋腫」

では、1つずつ見ていきましょう。

子宮筋腫の種類

「筋層内筋腫」

筋層内筋腫は、子宮壁を構成する平滑筋という筋層内にできる筋腫で、子宮筋腫のうち、このタイプの筋腫が全体の7割以上を占めています。小さいものならほとんど症状が出ませんが、大きくなると子宮内膜が引き伸ばされていき、月経痛や生理時の出血の量が増えたり、下腹部を触るとしこりが分かるようになり不妊の原因にもなります。また、妊娠時に大きくなってしまった場合は子宮内膜の安定性が崩れ、流産や早産の危険もあります。

「粘膜下筋腫」

粘膜下筋腫は、子宮の内側に向かって筋腫ができます。発生頻度は1割程度で、子宮内膜に筋腫の栄養血管が露出し、生理時などに大量出血しやすくなります。

まだ筋腫が小さいうちからダラダラと出血が続いたり、過多月経(生理の出血量が多い)といった症状が現れやすいです。逆に、内側に筋腫ができるので外からは分かりにくいのも特徴で、赤ちゃんが宿る子宮の内腔に筋腫が突き出てくるため不妊の原因になりやすいです。

また、粘膜下筋腫が大きくなり、”茎”を持って吊りさがるように子宮の中で発育すると、稀に腟の中に筋腫が突き出すことがあります。こうした状態を「筋腫分娩」といいます。筋腫を伝って腟から子宮に細菌が入り込んで感染症が起こり、危険な状態になることもあるので放置せず産婦人科等でしっかりと処置を受けましょう。

実際に不妊症の検査の際に筋腫が発見される人も沢山います。 また、過多月経(出血の量が多い)によりひどい貧血になることが多く、妊娠の際に受精卵が着床しにくくなり不妊症や早産の原因になるため、小さい段階でも早いうちから手術が検討されます。

「頸部筋腫」

頸部筋腫は、子宮の腟側にできる筋腫です。この筋腫は発症率が全体の5%程度と珍しく、小さな筋腫は治療せず経過観察になりますが、大きくなると粘膜下筋腫と同様に過多月経になり、貧血状態が強く出る為その段階で手術が検討されます。

子宮の浅い部分にできる筋腫ですが、近くを通る尿管を傷つけないようにする必要がある為手術の難易度が高くなります。また、妊娠中の場合、出産時に赤ちゃんが出るための通路を筋腫が邪魔していると帝王切開が必要になることもあります。

「漿膜下(しょうまくか)筋腫」

漿膜下(しょうまくか)筋腫は、子宮壁の最も外側にでき、外に向かって大きくなっていきます。発生頻度は全体の2割程度で、子宮から突出してしまう事もあり、他の筋腫と違って過多月経や貧血などの症状が出ないため、気が付きにくい筋腫です。その為、通常子宮の重さは60~70gほどなのですが、中には1kgの筋腫や更には稀に2kgもの筋腫がある人もいます。

筋腫が大きくなると、膀胱や直腸などの他の臓器が圧迫され、頻尿や便秘を引き起こすこともあります。受精卵が着床する子宮内膜への影響は少ないので不妊の原因にはなりにくいとされていますが、卵管の近くに大きめの漿膜下筋腫ができている場合は、卵管を圧迫して卵子や精子の通行を妨げる為不妊につながる可能性があります。

子宮筋腫の治療法

子宮筋腫の治療法は、年齢や筋腫の場所、大きさ、数で決まります。

治療には、年に1度程度の検査で筋腫の変化を調べる「経過観察」と、女性ホルモンの分泌を止める「薬物療法」外科手術により腫瘍を摘出する「手術療法」があります。

「薬物療法」

薬物療法は、「ホルモン療法」とも呼ばれ薬物によって女性ホルモンの分泌を止めて無月経の状態(閉経と同じ状態)にするもので、治療薬には毎日の点鼻薬と4週間に1回の注射薬の2種類があります。しかし、この治療では更年期時の症状が出たりするため、半年しか治療できません。

また、治療初期には不規則な不正出血が起こることもあります。治療中は子宮筋腫が半分近くまで小さくなりますが、治療を中止するとすぐに元の大きさに戻ってしまいます。そのため、「術前投与」といって筋腫の大きさを10cm以下にして、内視鏡下手術ができるように手術前に一時的に使用する、もしくは「逃げ込み投与」といって閉経の近い人が、手術ではなく薬物療法を選択した際に閉経に至るまでを繋ぐ一時的治療として行われています。

もう一つの治療法として低用量ピル(経口避妊薬)の服用があります。最近の低用量ピルは女性ホルモン量が少ないため、筋腫の増大を抑え症状も緩和されます。また、更年期時の症状もありません。しかし、いつまで続けるのかが問題となります。

このピルを用いた治療法は、同じく女性の病気の中でも多い「子宮内膜症」にも取り入れられ主に「トリキュラー」「マーベロン」といったものが用いられています。

※「子宮内膜症」についての詳細はこちらをご覧ください。

「手術療法」

手術をするかどうかの目安は、筋腫の大きさ約5cmが目安とされています。経過観察になる筋層内筋腫でも5cmを超えるような場合には摘出手術の処置が検討されるのが一般的です。手術療法には、筋腫だけを取り除くする「筋腫核出手術」と子宮を全て取り除く「子宮全摘出手術」があり、手術には「内視鏡下手術」と「開腹手術」があります。

妊娠を望まない人・年齢から出産が困難な人・子宮肉腫の疑いがある人等は「子宮全摘出手術」の場合が多く、そのうち筋腫が10cm以上・筋腫が多発しているといった場合は開腹手術になります。

内視鏡下手術には、「腹腔鏡下手術」と「子宮鏡手術」があり、腹腔鏡下手術は、おへその下に開けた穴から内視鏡を入れ、腹腔内をモニターで見ながら、他に開けた穴から手術器具を入れて患部の治療を行う手術で、その際、腹腔にガスを入れてドーム状にするのが一般的ですが、ガスを使用せず、より患者の体に優しく傷が小さく済む「皮下鋼線釣り上げ法」というものもあります。

これは全国でもまだ15%程度の施設でしか行われていないのですが、医師にとっても患者さんにとっても簡単にできる方法なので、全国的な広がりが期待されています。

子宮鏡手術は、子宮内を液体で膨らませてスペースを作り、子宮腔内をテレビモニターに映し出して子宮腔内の腫瘍(ポリープや筋腫など)を凝固切開装置というもので切除し取り除く手術で、腟からの手術なため体に傷は付きません。

筋腫が大きい場合には2、3 回に分けて行うことがあり、摘出する以外にも子宮内膜を焼灼し生理の量を軽減させる治療にも用いられます。また、子宮筋腫が栄養としている血管を詰めてしまう「子宮動脈塞栓術」というものもあります。

この方法は、お腹を切らずに子宮筋腫を治療でき、右太ももから動脈に約2mmの細い管(カテーテル)を挿入して腹部大動脈・内腸骨動脈を造影後に子宮動脈まで細い管を挿入し、子宮動脈造影後にそこへ血管塞栓物質を注入し血管を塞栓します。

子宮筋腫の検査と診断

子宮筋腫の検査は外来での一般的な診察と超音波を使って行われます。小さな筋腫は中々見つけづらく、大きな筋腫や手術を考える場合にはMRI検査をすることもあります。

大きな筋腫には、約0.5%に悪性の子宮肉腫が含まれています。子宮肉腫と子宮筋腫を見分けることは難しく、大きさや患者の年齢、大きくなるスピードなどで判断されます。

5㎝以上の筋腫が不妊の原因となる!

子宮筋腫は初期の場合全く症状が現れないことも多く、たまたま受けた婦人科検診などで発見されるということも良くあります。自覚症状がないため受診も治療もしないまま過ごし、そうこうしている内に大きくなって発見された時には手術が必要な程になっているという事も少なくありません。

5㎝以上の筋腫が不妊の原因になるといわれ、10cm以上になると子宮の形が変わり着床障害が起こりやすくなります。子宮筋腫をそのままにして体外受精などをしても着床しにくいですが、子宮筋腫を摘出して1年後に50%の人が自然妊娠したという報告もあります。そうしたことからも、不妊治療の前に子宮環境を整えることをおすすめします。

子宮筋腫が原因で不妊や流産を繰り返してしまうこともありますので、妊娠を希望する場合は、筋腫の小さいうちに手術をして取り除いてしまうことが望ましいです。

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